『キャロル』のトッド・ヘインズ最新作で、ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーアが豪華共演を果たし、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品、プレミア上映され話題をさらった『メイ・ディセンバー ゆれる真実』より、本作のモチーフとなった34歳女性と12歳少年のスキャンダルに切り込んだデーブ・スペクター氏による“メイ・ディセンバー事件”解説動画が到着した。
1990年代、コンテストで何度も優勝するほどの美少女が殺害され、今もなお未解決事件として有名な通称“ジョンベネ殺害事件”に並び全米を騒然とさせたのが、本作のタイトルにもなっている“メイ・ディセンバー事件”だ。34歳の女性(メアリー・ケイ・ルトーノー)と12歳の少年(ヴィリ・フアラアウ)との不倫スキャンダルという、非常にセンセーショナルな事件は、メディアの恰好の的となり、ふたりの一挙手一投足が連日報じられた。当時日本でもニュースで報道されたほか、2006年にはこの出来事から着想を得て製作され、ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが出演した映画『あるスキャンダルの覚え書き』が公開されるなど、誰もが知る世界的スキャンダルとなった。
“メイ・ディセンバー”とは、直訳すると「5月-12月」であるが、親子ほど歳が離れたカップルを意味する言葉でもある。美人で勤め先の学校での評判も良かったという当時34歳のメアリーと、家庭のトラブルを抱えていたという12歳のヴィリ。ヴィリがメアリーに好意を寄せ、初めは驚いたメアリーだったが、いつしか2人は教師と生徒以上の関係になってしまう。メアリーとヴィリ、それぞれに複雑な心境がある中で、メディアや世論も思いのままに様々な憶測を生んでいく。メアリーは既に結婚をして家庭を持っていたのに、なぜそのようなことをしてしまったのだろうか?ヴィリは本当にメアリーのことを愛していたのだろうか?当時を知るデーブ氏も「インパクトがあり、かなり興味深い」事件であったと述べている。
■『メイ・ディセンバー ゆれる真実』デーブ・スペクター氏による解説動画
映画『メイ・ディセンバー ゆれる真実』は、そんな“メイ・ディセンバー事件”をモチーフに、36歳女性と13歳少年との不倫スキャンダルから23年後を描く。事件の映画化が決まり、晴れて夫婦となり平穏に暮らしていたふたりのもとに、主演女優が役作りのリサーチのために訪れるのだが……。事件そのものの真実の追求ではなく、物語は事件のふたり〈当事者〉と女優〈よそ者〉の、憶測や疑念、ゆれ動く心情を徹底的にあぶり出す。やがてそれが明るみになるとき、観客の思い込みは粉々に砕かれる――。
本編を鑑賞したデーブ・スペクターは「事件を基にしたフィクションとはいえ、彼らの心境を自分なりに想像してしまうシーンばかり」と語る。果たして、「あなたはこの作品をどのように観るだろうか?」。
7月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開