母の唄がきこえる
真冬の長野。廃止間近の、小さな鉄道路線。廃止を知り、東京から父が一人住む実家にそれぞれ帰って来る姉と妹。父との確執により長年故郷を離れていた姉妹は、車窓に流れゆく懐かしい景色を見ながら、父や亡き母の思い出を胸に、生まれ育った家へと向かう。一方、電鉄会社で車両整備士をしている父は、廃止と時期を同じくして定年を迎える。父はこれまでの人生を振り返り、亡き妻や娘たちへの詫びる気持ちを込めて、家までの道のりを線路沿いに歩いて帰って行く―。
2012年に廃線となった長野電鉄屋代線の沿線を舞台に、失われゆくものと、変わらない想いを描く人間ドラマ。