わたしたちに許された特別な時間の終わり
2010年12月、かけ出しの映画監督の太田は、ひとりの友人を自殺で亡くした。彼の名は増田壮太。かねてより壮太とバンド仲間の冨永蔵人を撮影していた太田にとって、そのショックは大きかった。10代のバンドコンテストで優勝するほど音楽の才能に恵まれ「ミュージシャンになる」という強い夢を持っていた壮太がなぜ———。一方、壮太に誘われバンドを組んでいたものの、何がやりたいのか自分でも分かっていなかった蔵人は、徐々に壮太と袂を分かち、就職することで自分の居場所を見つけはじめる…。